再生療法・歯肉移植
再生療法・歯肉移植
歯周組織とは、歯を支えている組織のことです。歯周病が進行すると、歯周組織が破壊され、歯ブラシの時に出血してきたり、歯がグラグラしてきたりします。歯周病治療のほとんどが、その進行を止める治療法であるのに対し、歯周組織再生治療とは、失われた歯周組織を回復できる治療法となります。
一般的な歯周外科手術では、局所麻酔下で歯根や歯槽骨を見える状態にして、確実に歯石やプラークを除去して清掃しやすい環境に整えます。
再生治療によって歯周組織の健康が回復すると歯周ポケットは浅くなり、歯の寿命が延伸します。この治療法がうまくいけば、他院で「この歯は抜かなければなりません」と言われてしまった症例(重度歯周病)でも抜かずに保存できるケースも出てきます。
歯が生えてくるときに重要な役割を果たすエナメルマトリックスタンパク質を用いた再生法がエムドゲインです。エムドゲインを塗布することで、歯の発生過程に似た環境を再現し、強固な付着機能を持つ歯周組織の再生を促します。エムドゲインは、世界で長期的に使用されている再生材料で、医療材料としての安全性と有効性が認められています。
リグロスは、塩基性線維芽細胞増殖因子(傷を治したり、血管を作ったりする成長因子)を人工的に精製した歯周組織再生薬です。
リグロスの成分は、すでにやけどや床ずれなどの治療薬として使用されています。
これら歯周組織再生療法の術後は、患部の確認やケアを月1~2回の頻度で定期的におこないます。健康な歯周組織を取り戻すまで、数カ月程度かかります(この期間は個人差があり、歯周病の程度によって異なります)。
1
手術は局所麻酔下で行います
2
骨を増やしたい部分の歯肉を切開します
3
骨欠損部位に骨補填材を填入します
4
骨再生をサポートする人工膜を骨補填材の上に重ねて歯肉を縫合します
5
体の代謝に沿い時間をかけて骨を造成します
歯周病、加齢、元々の歯並びの悪さ、矯正治療や過度なブラッシング等により歯ぐきが本来の位置よりも下がってしまい歯根(黄色の部分)が露出してしまう状態のことを歯肉退縮といいます。歯肉退縮により知覚過敏(しみる)が生じたり、歯が長くなったりするので見た目が悪くなります。
以前より歯が長く見えるようになったと感じたら歯肉退縮を疑いましょう。歯肉退縮が起こると、そこから細菌に感染しやすくなり、歯を失うことにつながる可能性もあるため、放置せずに歯科医を受診することが大切です。
当院では歯肉退縮を改善させる歯周形成外科をおこなっております。歯周形成外科とは歯肉の位置を移動したり、歯肉等を移植したりすることにより、歯肉のバランスを整える手法です。
上あごから結合組織(歯ぐき)を採取して移植するので取れる歯ぐきの量によっては1度で全てを治療できないことがあります。その場合歯ぐきが再生するのを待って何度か手術を行うことで改善していきます。
遊離歯肉移植術(FGG)は、歯ぐきが不足している箇所に、ご自身から歯肉を移植する外科的な処置です。
歯ぐきが不足していると、ブラッシングが困難で、歯周病のリスクが高くなります。FGGによって歯ぐきの硬さが増すと、ブラッシングがしやすくなるだけでなく、見た目も改善されます。インプラント修復物にも施術可能です。
上あごから歯ぐきを取らないで歯ぐきを移動させて治す方法です。しかしもともと歯ぐきに厚みがある方でないと、改善しにくい特徴があります。
笑った時に歯ぐきが目立つ状態を「ガミースマイル」といいます。「笑うと歯ぐきが大きく見えてしまうので口元を隠してしまう」「自信を持って笑えない」などの悩みを抱えている方も多いと思います。
ガミースマイルには歯の位置や顎の形など様々な原因があります。歯周病専門医での診断を受けることをお勧めします。
治療法は歯肉や骨の形を整えたり、歯の位置を整えて正しい歯の形へ改善していきます。